α-NINJA

『ABC-INIT』から、パズルとしてより完成させやすいタイプとして『α-NINJA』を作りました。8月の展覧会を開催するきっかけとなったのは、この『α-NINJA』を多くの人に体験してもらいたいということでした。自分のアート作品制作の過程から副産物として生まれたものです。


展覧会の準備、展覧会、その後のワークショップの活動などを通して、『α-NINJA』『ABC-INIT』はアートなのかどうかをいろいろ考えました。その結果「これはアートである」という結論に達しました。

私の解釈:

今から100年程まえに、ダダ、シュールレアリスムという芸術活動がパリを中心に現れました。マルセル・デュシャンの『泉』という作品、男性用の衛生陶器(小便器)をそのまま展覧会に持ち込んだ作品が伝説的に有名です。

アメリア・アレナスの『なぜ、これがアートなの?』という本の中に「開かれた作品」という表現で『泉』などが出てきた後のアートについて解説しています。「開かれた作品」というのは、見る人の解釈によって作品の意味が変化するもの。あるいは、作品の意味の多くを鑑賞者に委ねているような作品だと説明しています。

見る人がどのように見るかは自由だというのが、アメリア・アレナスの現代美術の解釈の前提にあるようです。

「What you see is What you see」とはミニマル・アートの芸術家が言った言葉です。「あなたがみているものが、あなたが見ているものだ」という禅問答のような言葉です。

こうした美術史の流れを受けて、荒川修作は、「見る者が作られる場」という展覧会を1990年頃に日本で開催しました。

「見る者が何をどのように見たか」ということと、「見る人によって見たものの意味が変わる」という観点から『α-NINJA』を考えてみると、鑑賞者が見た結果とその多様さを視覚化するしかけのような働きをする物体(作品・オブジェ)ということで、「α-NINJAはアートである」という理解をしました。


ARTE STILO

現代美術の作家、太田武志が2024年から作り始めた「ARTE STILO」のシリーズを中心に作品やその背後にあるアート・コンセプトを紹介するサイト。

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