展覧会006 ARTE STILO citta
8月の展覧会の作品006『ARTE STILO citta』
2023年11月にニューロサイエンティスト(神経科学者)のボー・ロット著書『脳は「ものの見方」で進化する』(原題『DAVIATE(逸脱)』)の本を読みました。読むきっかけとなったのは神田房枝の『知覚力を磨く』です。神田の本のバックグラウンドにあるのがロットの本です。ロットによると、人の眼(脳)は見ているようで見ていないと述べています(論拠は不明)。人が「見た」と思っている内容の90%が脳が創作した情報だそうです。ブリタニカ百科事典のウエブサイトを参照すると、ヒトの脳は1秒間に120万ビットの電気信号を感覚器官(目・耳・鼻・口・皮膚など)から受信します。しかし、ヒトの意識が認識できる情報量はその40ppmの50ビット程度だとも書かれています。ロットによれば、そうした脳の性質があってこそ、人類が生物界で生存優位になることができた重要な要素です。
人は見ていないのですから、写真の通りに見ている可能性も低いのかも知れない。少なくとも脳にとっては視覚情報のほとんどは無視すべき内容だと推測されます。
そのことを逆手にとって、空間の情報秩序を変更しても、それほど大きな問題ではない。脳を基準にして考えるのなら、ルネサンス期に確立された、遠近法的なものの見方、表し方をしなくても大差はないのではないかと思い、テトロミノで平面空間を分割して、再構成(情報量はおそらくプラス・マイナス「0」)してみようとした試みが『ARTE STILO citta』です。
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